空港から電車を乗り継いで、KTMクアラルンプール駅に着いたとき
日が暮れかけていた。
今回、ビザ(90日)一杯滞在し、その間に夫は会社を立ち上げ、三ヵ月後に帰国する。準備が済み、帰国してワークパーミットが取れたら、私たちはマレーシアに住むことになる。
日本での持ち物は処分し、今私たちの持ち物はスーツケース3個分しかない。
スーツケース3個、財産としては軽すぎるが、手荷物として運ぶには結構な量だ。
置き引きにあったらいけない。
引ったくりにあったらいけない。
知らない人に荷物を触られたらいけない。
タクシーの価格交渉の仕方もわからない。きっとぼったくられるし、どこに連れて行かれるかわからないし、逃げられないから使いたくない。ここは外国なんだ。
飛行機を降りてから、ずっと緊張していた。
おかげで、路線を一度間違えて一駅Uターンした以外、何もトラブルはなかった。
空港からKTMクアラルンプール駅に降りたとき、
私達はすでに疲弊していた。
クアラルンプール駅、降りたホームの反対ホームにホテルの看板が見える、どうやって線路を渡ればいいんだ?
拙い英語で駅員に聞くと、もっと端まで行くと地下乗り換え口があるという。
指差したほうは、人気もなく暗いホームの端。半泣きになりそうになった。
向かってゆくと確かに地下への階段があった。駄目だ、スーツケース三個抱えて暗い階段を下りるなんて無理だ。
夫のほうは「もう、やってしまえ、」とスーツケースを抱えたが私は「ホテルのポーターを呼ぼう」ととめた。
しかし、ポーターなんて中級ホテルにいるのだろうか、
この暗い地下通路いけるのか?など困った顔をしていたら
地下から華やかなイスラムのお姉さん3人が登ってきて、
声をかけてくれた。
なんだかよくわからない。言葉の意味はわからないが、ホームのさらに先を指差してくれている。
私がジェスチャーで「スローブ?」と聞くと、そうそう、とにこにこはしゃいでくれた。
もっと先にゆくと、スローブでホテル側にいけるらしい。
「OK!I See ありがとう」
私は英語なんてまったく話せない。お姉さん方も英語じゃなかったと思う。
それでも気持ちは通じるものなのね。 なによりも、声をかけてくれたのがうれしかった。